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製造工程例

SLG枠練り透明石鹸 タイプA2016.09.13

石鹸は、今から5000年前に偶然発見されてから、基本的に使用されているものは『油脂とアルカリ』で古代から少しも変わってはいません。その石鹸が、今日では生活に欠かすことのできないものとなり、様々な種類の石鹸が出回るようになりました。そこで、今回一般的な石鹸と弊社の石鹸(以下「タイプA」と記す)の違いについて紹介します。

1.低刺激

ラウリン酸を含まない

脂肪酸石鹸の皮膚刺激性は、ラウリン酸石鹸で最大になることが多くの実験から実証されています。例えば、Emeryらの結果を表に示します。このように炭素鎖12のラウリン酸化合物で特に皮膚刺激性が強い原因として、この種の化合物のタンパク質変性作用による皮膚への浸透速度が大きいことと、皮膚中での細胞毒性が大きいためと解釈されています。

エタノールを使用していない

一般的な枠練り透明石鹸は、製法上多量のエタノールを使用するために、60~120日近く乾燥に時間がかかります。しかし、タイプAはエタノールを使用しないため、乾燥期間が短く他の枠練り透明石鹸よりも短納期が可能となります。また、エタノール配合により起こりえる刺激の解消も期待できます。

過脂肪である

石鹸は“酸(脂肪酸)”と“アルカリ”の中和物であり、脂肪酸塩の状態を示しています。この脂肪酸塩は、その他の合成された界面活性剤に比べ、構造上不安定な要素を多く含みます。この不安定な石鹸を多少なりと安定化傾向に操作する場合、一般的には『アルカリ過剰』とし、アルカリの量が多めに設定されます。しかし、アルカリ過剰により遊離アルカリが発生し、自らが安定になるために様々なものに結合しようと活性酸素のような攻撃性を持ちます。よって、タンパク質が遊離アルカリの結合対象となり、結合を受けたタンパク質は炎症を起こします。
それに対して、タイプAはベースとなる脂肪酸より少ないアルカリを配合し、全てのアルカリを中和させるため『脂肪酸過剰』となります。よって、洗顔による皮膚のpH上昇を緩衝し、かつ皮膚に保湿をもたらす結果となります。
試験方法としては、それぞれの石鹸で洗浄後、皮膚上のpHを測定しました。グラフ1より、タイプAは脂肪過剰により約10分で洗浄前と同じpHに戻り、他社の石鹸は洗浄前と同じpHに戻るまでに30分以上かかることがわかります。

吹出物(ニキビ)ができにくい

石鹸は腐ることはありませんが、一番の変化は酸化することです。石鹸はベースに動植物油脂を分解した脂肪酸を用いているため、油脂同様に酸化します。一般的な石鹸も数ヶ月放置されると褐変してしまいます。それが、タイプAのような酸化しやすい脂肪酸が遊離しているとなおさら酸化は促進します。それを解消するために、タイプAでは前処理として油脂を脂肪酸にすべて分解し、改めて石鹸に必要な脂肪酸のみを単体で使用し製造することで、不飽和脂肪酸を完全に排除することを可能としました。その結果、脂肪酸過剰でも酸化されない石鹸を得ることができました。
また、不飽和脂肪酸は酸化されやすい構造から、不飽和脂肪酸⇒酸化型不飽和脂肪酸と容易に変化し、皮膚中の脂質を連鎖的に酸化させてしまいます。不飽和脂肪酸として代表的なオレイン酸はその連鎖酸化等の影響で『ニキビを誘発させるまたは悪化させる因子』として知られています。よって、タイプAにはオレイン酸が含まれていないことから、吹出物ができにくいと考えられます。


2.高起泡性

起泡性試験

この試験では、それぞれの石鹸の2%溶液をミキサーで10秒間撹拌し、メスシリンダーに入れて気泡量を調べました。
タイプAは一般の石鹸に比べて、約50mlも多い気泡量であることがわかり、30分経過しても泡の量があまり変化しないことがわかります。この気泡力により極少量の洗浄剤で、消費者に『もう十分』と感じる泡を即座に発生させることができます。

泡質試験

この試験では、それぞれの石鹸を同じ条件でスポンジに含ませ泡立てました。その後、コーンに泡をのせ、泡質を調べました。

1時間経過後の写真と比較すると、他社の石鹸の泡はコーンの側面に垂れてきているのがわかります。これは、泡質がタイプAよりも細かくないために、時間がたつと泡が緩くなってしまうからと考えられます。これより、タイプAの泡質のほうが細かいということがわかります。