北海道アイヌ民族の知恵
　和のローズから独自技術で高性能化
　　～ 和ローズの花エキス ～2019.03.11

　★お勧め原料「和ローズの花露」
『同じハマナスの花を活用したオリジナル芳香蒸留水「和ローズの花露」と一緒に配合することで「ハマナス花由来原料高配合」の製品設計が可能に。そのために新たにサステナブルな独自技術「カスケード製法」を開発。花露（花水）と花エキスの同時製造だけでなく、花エキスの有効性も格段にアップ。』
 

期待される効果と有効性情報

１.　ハマナスの花とは

バラ科バラ属で、学名「Rosa rugosa」
原産地は日本で、とくに襟裳岬から網走などの北海道の沿岸に自生しています。食用の果実が「浜に生える梨」の様から「浜梨」がハマナスの語源です。ハマナスの花は北海道に多く自生していて花が美しいこから、「北海道の花（道花）」に指定されています。

北海道のアイヌ民族が古くから壊血病の予防と治療に利用してきたことからも、薬理効果が高い植物です。ビタミンCやタンニンなどのポリフェノールを豊富に含みます。花蕾は漢方の「玫瑰花（まいかいか）」です。

本原料には、北海道オホーツクの紋別郡興部（オコッペ）町の農園「かみでファーム」で無農薬栽培されたこだわりの花を使用しています。
 

２.　独自技術によりハマナスの花の力を引き出す

ハマナス花に豊富に含まれるポリフェノールのほとんどがタンニンです。タンニンは縮合型タンニンと加水分解型タンニンの2系統に分類され、ハマナス花タンニンは加水分解型で、エラジタンニンとも呼ばれます。タンニンは収れん作用（口腔内の粘膜などが変性して渋みを感じること）が強く、これは自然界において植物が登熟前に捕食されるのを防ぐための防御物資でもあります。

タンニンは強力な抗酸化作用を有していますが、タンパク質と結合しやすく、かつ分子量も大きいことから経皮吸収性は低いと考えられます。

当社では、「ヒトと地球をもっと綺麗に、ずっと綺麗に」をミッションに、
　　　　　　植物を独特に活用した化粧品の製品開発を行っています。

本原料では、ハマナス花に多量に含まれるタンニンを独自技術で低分子化させ、エラグ酸に変換することに成功しました。

※エラジタンニン：加水分解によりエラグ酸を生じるタンニンの総称。自然界に1000種類以上存在

ハマナス花エキスを分析したところ、分子量が1000前後の複数のエラジタンニンのピークが検出されました。これに独自技術を施し、高分子タンニンを低分子の美白成分エラグ酸に変換しました。エラグ酸はメラニン合成の重要酵素であるチロシナーゼを阻害することから、医薬部外品の美白有効成分として登録されています。
 

３.　「和ローズの花エキス」はエラグ酸を高含有

エラグ酸は、ザクロ、イチゴ、ラズベリー、クランベリー、ブドウ、ブラックベリー、クルミ、ペカン、クコなどの多く含まれるとされる植物においても、有効成分としてのエラグ酸は極めて微量です。

「和ローズの花エキス」は、イチゴエキスの110倍、ザクロエキスの546倍のエラグ酸を含むことが分かりました（当社調べ）。

また、エラグ酸はメタノールやエタノールに極めて溶けにくく、水にもほとんど溶けないという性質がありますが、本原料においては安定的に可溶化されています。
 

４.　エラグ酸は肌に浸透する

＜試験方法＞
エラグ酸とエラジタンニンをそれぞれ含侵させたパッチを皮膚貼付し、パッチ剥離後肌を洗浄し、テープストリッピングで角層を1層ずつ採取しました。テープを溶媒で抽出し、LCで分析しました。

テープストリッピング法で採取した角層中には高分子型タンニンであるBとCは検出されませんでした。一方、比較的低分子型のタンニンAは検出されましたが、エラグ酸はその4倍以上の吸収が確認されました。
 

５.　シミ抑制作用

＜試験方法＞
チロシナーゼ活性阻害試験：メラニン合成酵素チロシナーゼに対する阻害効果を、ドーパからドーパクロームの酵素生成物の量で測定　試験濃度：1.3mg/mL

和ローズの花エキスはチロシナーゼ活性を阻害しました。チロシナーゼはメラニン産生に必須の酵素です。紫外線などの影響で活性化し、色素細胞中でチロシンというアミノ酸から段階を経てメラニンになる際に作用します。シミなど色素沈着のある肌で活性化しています。皮膚へと高浸透するエラグ酸は細胞レベルでも美白効果を発揮することが期待できます。
 

６.　抗酸化作用

＜試験方法＞
過酸化脂質生成抑制試験：リノール酸が酸化してできる共役ジエンを測定
スーパーオキシド消去試験：キサンチン／キサンチンオキシダーゼ系により生じるO2-を測定
ラジカル消去試験：DPPHラジカルの消去能を測定
過酸化脂質生成抑制試験：リノール酸が酸化してできる共役ジエンを測定
試験濃度単位：μg/mL
 

和ローズの花エキスは、過酸化脂質生成抑制作用、スーパーオキシド消去作用およびDPPHラジカル消去作用を示しました。

ハマナスの花に一般的に含まれるタンニンは強力な抗酸化成分ですが、独自技術で製造したエラグ酸高含有原料においても、比較品のハマナス花エキスと同等、もしくは若干強い抗酸化性が認められました。

このことから、和ローズの花エキスは花本来のもつ強い抗酸化性と高浸透性を兼ね備えた原料といえます。
抗酸化成分は皮膚へと浸透し、紫外線暴露により生じるROSを消去することにより光老化抑制効果が期待できます。
 

７.　抗糖化作用

＜試験方法＞
D-グルコース、アルブミンおよび検体溶液を60℃、48時間で反応させた後、蛍光強度を測定
試験濃度：10mMアミノグアニジン、和ローズの花エキス 400μg/mL

陽性対照であるアミノグアニジンのタンパク質糖化抑制効果を100としたときの、和ローズの花エキスの阻害活性を示しました。和ローズの花エキスは糖化タンパク質生成抑制作用を示し、これは10mMという高濃度のアミノグアニジンの27%の阻害活性でした。アミノグアニジンはカルボニル化合物を分子内のアミノ基で補足することを機序としたAGEs生成阻害剤です。

独自製法の和ローズの花エキスは、比較品のハマナス花エキスよりもAGEs生成阻害活性が57%高いことが示されました。エラグ酸の抗糖化作用は文献でも報告されています。

タンパク質の糖化は終末糖化産物（Advanced Glycation Endproducts: AGEs）の生成へと至り、皮膚へのAGEs蓄積は肌の透明感を低下させたり、シワやたるみの原因となることが分かっています。皮膚の糖化は、皮膚老化原因の3割を占めるともいわれています。

８.　抗カルボニル化作用（UV保護）

＜試験方法＞
テープストリッピング法により前腕内側の角層を採取し、検体塗布。
UV照射（約140J/cm2）後、PBSで洗浄。5-FTSCで染色後、蛍光顕微鏡観察および蛍光強度測定
試験濃度：0.04, 0.4, 4 mg/mL
 

和ローズの花エキスは、UV照射により引き起こされる角層タンパク質の酸化（カルボニル化）を抑制しました。

皮膚老化の大きな原因の一つとして紫外線暴露が挙げられます。紫外線は皮膚細胞の老化を促進させるだけでなく、皮膚組織の構造タンパク質などを変性させます。ケラチンなどの表皮構造タンパク質の変性は、「黄ぐすみ」などで表現される肌の見た目の老化に深く関わります。角層タンパク質のカルボニル化を抑制することで、肌の黄色変性を防ぎ、透明度の高い肌の実現が期待できます。
 

９.　抗シワ作用（エラスターゼ阻害）

＜試験方法＞
エラスチンを分解するエラスターゼ酵素活性に対する阻害効果を測定
試験濃度：4, 40 μg/mL

和ローズの花エキスはエラスターゼ活性を阻害しました。

エラスチンは、網目状に構成されるコラーゲンを結びつけ、コラーゲンとともに肌のハリを維持しています。別名、「弾力繊維」と呼ばれ、ゴムのように伸縮します。そのため、加齢や紫外線、活性酸素、ストレス、エラスチン分解酵素（エラスターゼ）などによってエラスチンが減少すると、シワやたるみなど老化の原因となります。このことから、エラスターゼを阻害する成分には、肌のハリを回復または維持させ、その結果肌を若々しく保たせる効果が期待できます。

エラグ酸にはエラスチンを保護する効果の他、紫外線によるシワと炎症を抑える効果が報告されています。

１０.　保湿作用

「和ローズの花露」をベースに「和ローズの花エキス」を1%配合したエキスを肌に塗布することで、角層水分量が増加することが示されました。この効果は塗布後120分でも持続しており、精製水と花露単体よりも高いことが分かりました。

測定：SKICON-200EX-USB (I.B.S. Co.) により測定される電導度(μS)
女性6名（平均年齢45）上腕内側部
 

１１.　原料情報

原料情報
・素材：北海道産の無農薬栽培ハマナスの花を使用
・原料名：和ローズの花エキス
・原料英語名：Japanese-rose Flower Extract
・化粧品表示名称：ハマナス花エキス
・INCI名: ROSA RUGOSA FLOWER EXTRACT
・中文名称：玫瑰（ROSA RUGOSA）花提取物

安全性情報
・24時間閉塞パッチテスト：刺激性なし
・SIRC細胞を用いた眼刺激性試験：刺激性なし
・ROSアッセイによる光毒性試験：陰性