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枸杞の実発酵エキス

 
希少な国産クコの実を植物性乳酸菌で発酵させた
保湿エイジングケア原料
FGP ~ 枸杞の実発酵エキス ~2019.03.01

希少な国産無農薬栽培の枸杞(クコ)の実
ビューティースーパーフード「ゴジベリー」としても人気
植物性乳酸菌で発酵させることによりセラミドなどの表皮バリア成分の産生能を活性化

FGP: ふるさと元気プロジェクト


1. 枸杞の実とは

ナス科クコ属の落葉低木、学名「Lycium chinense」で、ゴジベリーとも呼ばれます。
「スーパーフルーツ」や「スーパーフード」として、美容・健康素材で注目されています。
果実にはカロテノイドや保湿成分ベタインが多く含まれます。

中国宋代「養老奉親書」には老化防止に効く「不老長寿の妙薬」として記載され、
千年にもわたる使用歴があります。
成熟果実の乾燥物は生薬の枸杞子(くこし)になります。
日本には平安時代に伝来し、果実、葉、根皮を漢方薬や民間薬として利用してきました。

日本国内で流通している枸杞の実のほとんどが中国産です。
本原料には、福島県の西会津町クコ生産組合(代表:井上清一氏)で無農薬栽培された枸杞の実を使用しています。
枸杞は日本での商業栽培はほとんどなく、国産枸杞の実はたいへん希少な存在です。


2. 乳酸菌発酵により枸杞の実の力を引き出す

当社は以前から福島県産クコ果実エキスを化粧品原料として取り扱ってきました。福島県産クコ果実エキスは、中国産クコ果実よりも抗酸化作用が強く、クコ果実エキスには美白効果も認められています。

また当社では、「人と地球をもっと綺麗に、ずっと綺麗に」をミッションに、
        植物を独特に活用した化粧品の製品開発
を行っています。

そこで今回、たいへん希少なクコ果実の新たな価値を引き出すため、植物性乳酸菌で発酵させました。
その結果、保湿に関わる重要因子を遺伝子レベルで活性化させる原料の開発に成功しました。

乳酸菌発酵
原材料(植物)を乳酸菌発酵させると、乳酸菌の増殖・代謝によりアミノ酸や乳酸などの有機酸が生成するなどし、化粧品原料の性能を高めることができます。

乳酸菌発酵により、未発酵ではほとんど含まれていなかった乳酸が大きく増加しました。
乳酸は、肌を弱酸性に保ち、肌のターンオーバー改善や皮膚有害細菌の繁殖抑制などの効果が期待できる成分です。
枸杞の実に元々含まれている保湿成分ベタインは発酵後も変わらず多く含まれていました。

乳酸菌発酵後のエキスでは、乳酸菌によるアルギニンの代謝産物であるシトルリンとオルニチンが増加していました。シトルリンとオルニチンは、肌の天然保湿因子NMFの主要成分である遊離アミノ酸の構成分です。
健康食品で注目されているこれらのアミノ酸は、肌への有効性はまだ不明な点も多いですが、皮膚の抗老化(コラーゲン産生や保護)に関与すると考えられています。


3. 有効性情報と期待される効果

 

有効性情報
・ラジカル消去
・過酸化脂質生成抑制
・過酸化水素消去
・保湿関連遺伝子発現促進
・コラーゲン保護
・コラーゲン産生促進
 

期待される効果
・抗酸化
・抗光老化
・保湿
・抗老化
・しわたるみ改善
 

※ 本原料の情報はフレグランスジャーナル2018年7月号に掲載あり
 


4. 枸杞の実発酵エキスの保湿作用 -ヒト表皮角化細胞-  

<試験方法>
ヒト表皮角化細胞を24時間培養。その後、“枸杞の実発酵エキス”含有DMEMを加え48時間培養し、RNA抽出よびcDNA合成。cDNAを用いてRT-qPCR
試験濃度: 80μg/mL

<遺伝子の特徴>
FLG(Filaggrin: フィラグリン)
ヒトが持つ保湿成分である天然保湿因子(Natural moisturizing factor:NMF)の元となるタンパク質。肌の代謝と共に分解されてアミノ酸となり、NMFとして角層水分を保持します。減少すると、肌のバリア機能や水分保持能が低下して乾燥の原因になります。
TGM(Transglutaminase: トランスグルタミナーゼ)
肌のバリア機能に関わる「コーニファイドエンベロープ(Cornified envelope:CE)」の形成や成熟促進をする酵素。湿度が高い環境で活性が高まり、成熟したCEを生成します。CEの成熟は、肌のバリア機能や水分保持能の維持・向上に繋がります。
GBA(β-glucocerebrosidase: β-グルコセレブロシダーゼ)
セラミドの前駆体であるグルコシルセラミドからセラミド(セラミドEOPなど)を産生する酵素。表皮細胞で産生され、外的刺激から守るバリア機能を担っています。加齢などによりセラミドが減少すると乾燥の原因となります。
SMPD(Sphingomyelin phosphodiesterase: スフィンゴミエリナーゼ)
セラミドの前駆体の一つであるスフィンゴミエリンからセラミド(セラミドNS、セラミドASなど)を産生する酵素。表皮細胞で産生され、肌の水分保持を担っています。作り出されるセラミド量が増えることで肌のバリア機能や水分保持力が向上します。

<結果と考察>
枸杞の実発酵エキスはヒト表皮角化細胞において、保湿に関わる重要遺伝子であるFLG、TGM、GBAおよびSMPDの発現量を促進させ、この効果は未発酵の枸杞の実エキスよりも高いことが示されました。
セラミドとアミノ酸はそれぞれ肌の3大保湿因子の一つです。また、セラミドとコーニファイドエンベロープは角層を強固なものとし、バリア機能の維持に大きく関わります。
枸杞の実発酵エキスは、保湿機能とバリア機能の両方の改善効果が期待できます。


5. 枸杞の実発酵エキスのコラーゲン保護作用 -in vitro-

<試験方法>
Pz-ペプチドを基質としてコラゲナーゼの阻害効果を吸光度(OD320)で測定
試験濃度: 20 μg/mL

<結果と考察>
枸杞の実発酵エキスは、コラゲナーゼ活性を抑制し、その効果は未発酵の枸杞の実エキスよりも高いことが示されました。
コラゲナーゼは皮膚ではケラチノサイト(表皮角化細胞)や線維芽細胞などで生産され、マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)とよばれる酵素群の一つです。肌に弾力性を与えてくれるコラーゲンを分解してしまう酵素で、紫外線により増加し、コラーゲンの分解を促進させます。また加齢や炎症によっても多く作られ、しわの形成やはりの低下に繋がります。
枸杞の実発酵エキスには、これらの因子を抑制することによる抗しわ効果が期待できます。


6. 製品情報

原料情報
・福島県産の無農薬栽培の枸杞果実を使用
・表示名称:乳酸桿菌/クコ果実エキス発酵液
・INCI名: LACTOBACILLUS/LYCIUM CHINENSE FRUIT EXTRACT FERMENT FILTRATE
・中文名称:なし

安全性情報
・24時間閉塞パッチテスト:刺激性なし
・SIRC細胞を用いた眼刺激性試験:刺激性なし
・ROSアッセイによる光毒性試験:陰性


7. ふるさと元気プロジェクト(FGP)

FGPの目指す化粧品のバリューチェーン

地域農産品(一次産品)のもつ固有の価値(バリュー)に
  ①化粧品OEM会社の有する技術力
  ②化粧品販売メーカーの企画販売力
  ③消費者の評価
 などが加わることにより、一次産品の価値が連鎖的に高まります。
 消費者は、化粧品製品と産地に共感を覚え、
 産地への共感は、SNSによる拡散、一次産品の購買行動、観光など、地域振興へとつながります。
 化粧品により「福島県産枸杞の実」に付与された新しいバリューが、生産者にフィードバックされます。



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