植物リポフェノール®
待望の新成分、油溶性ポリフェノールならではの肌なじみ
肌の奥深くまで浸透してトリプルエイジングケア
~ 植物リポフェノール® ~
Botanical Lipophenol2018.10.18
リポ(Lipo)は脂質のこと。フェノールはポリフェノールのこと。
植物リポフェノール®は植物から抽出された世界初*の油溶性ポリフェノールのことです。
*サツマイモ由来の脂溶性ポリフェノール成分として(特許取得)
※NHK「あさイチ」で「最強の美白成分・・」として紹介されました。
✔ 浸透性と肌なじみに優れる低分子・油溶性のファイトケミカル
✔ 三大肌老化「シミ・シワ・乾燥」ケアの期待できる多機能・高性能原料
目 次
1.期待される効果と有効性情報
2.植物リポフェノールの構造と優れた経皮吸収性
3.独自技術でサツマイモの眠った力を引き出す
4.植物リポフェノールのエイジングケア作用① ―シミ・くすみ・炎症―
5.植物リポフェノールのエイジングケア作用② ―シワ・たるみ―
6.植物リポフェノールのエイジングケア作用③ ―乾燥肌―
7.製品情報
1. 期待される効果と有効性情報
1. 期待される効果と有効性情報 |
シミ・くすみ シワ・たるみ 保湿 ストレス #油溶性ポリフェノール #高浸透
■シミ・くすみ ■シワ・たるみ ■保湿・ストレス ■活性酸素消去
メラニン産生抑制(細胞メラニン量)
メラニン産生抑制(細胞チロシナーゼ阻害)
メラニン産生抑制(TYR生成抑制)
メラニン産生抑制(MITF生成抑制)
メラニン産生抑制(PMEL17生成抑制)
微弱炎症抑制(IL1A生成抑制)
微弱炎症抑制(COX2生成抑制)
微弱炎症抑制(SCF生成抑制)
微弱炎症抑制(PAR2生成抑制)
コラーゲン保護(MMP1活性抑制)
ヒアルロン酸産生(HAS1生成促進)
ヒアルロン酸産生(HAS2生成促進)
ヒアルロン酸産生(HAS3生成促進)
フィラグリン産生(コルチゾルストレス誘導FLG低下抑制)
抗酸化(DPPHラジカル)
抗酸化(O2-ラジカル)
抗酸化(・OHラジカル)
抗酸化(過酸化脂質)
2. 植物リポフェノールの構造と優れた経皮吸収性
2. 植物リポフェノールの構造と優れた経皮吸収性 |
2.1 リポフェノールはカフェ酸の長鎖アルキルエステル
サツマイモは子孫を残すために、塊根の周皮をコルク化させて乾燥から身を守る能力を本来もっています。
この時、ポリフェノールにパルミチルアルコールやステアリルアルコールなどを結合させて
油溶性を高めたカフェ酸アルキルエステルを植物体内で新たに作り出し、サツマイモの水分蒸散を防ぎます。
また、コルク層は紫外線から組織を守ることも知られています。
※カフェ酸(コーヒー酸):
コーヒーに多く含まれることから食経験が長い。カテコール構造をもつため強い抗酸化性を示すことが知られている。
図に示したように、脂質(リポ)とポリフェノールが一つになった油溶性ポリフェノール成分であることから、本成分を「Lipophenol:リポフェノール®」と名付けました(商標登録6132346)。
サツマイモが自身の身を守るために作り出すリポフェノールは、人にとっても肌を守る有効な成分となります。
2.2 植物リポフェノールは角層深くまで浸透
リポフェノール(油溶性ポリフェノール)のメリットとしては、肌なじみの良さ、浸透性の高さが考えられます。肌の奥まで浸透することで、美容効果の持続も期待できます。
そこで、植物リポフェノールの経皮吸収性を、同じフェノール骨格をもつ水溶性のクロロゲン酸(カフェオイルキナ酸)と比較しました。クロロゲン酸は植物に広く存在するポリフェノールで、健康・美容成分としてよく知られている成分です。
植物リポフェノールは角層の浅層から深層までよく浸透し、角層深部ではクロロゲン酸の約16倍の浸透率でした(表層浸透量を100としたとき)。
また、角層表層よりも内部の浅層の方で浸透量が高かったことから、塗布されたリポフェノールが速やかに角層内に浸透して全層に広がり、その結果一度のスキンケアによる持続的な効果が期待できます。
このように、植物リポフェノールは極めて経皮吸収性の高い成分であることが分かりました。
<テープストリッピング法>
上腕内側部を中性洗剤で洗浄後、エキスを含侵させたパッチテスターを貼り付ける。一定時間経過後パッチを剥がし、塗布部を中性洗剤で洗浄後、テープで一層ずつ角層を剥離して採取する。各角層は溶媒で抽出し、LC-MSにて成分分析。
人体を構成している細胞約37兆個の細胞膜は脂質でできています*)。さらに肌の角質層は脂質層で構築され、疎水性バリアーとして機能しています。すなわち、食品と化粧品に共通して高い健康機能性を発現させるためには、生体親和性の高い油溶性成分が重要となります。
植物リポフェノールの細胞膜透過性と経皮吸収性
このような待望の新成分「リポフェノール」。しかしサツマイモであっても、自然な状態ではリポフェノールはほとんど存在しません。リポフェノールは、過酷環境から身を守るためにサツマイモがもつ眠った力(潜在能力)です。
その力を独自技術で引き出してあげることで、はじめて人にとって有益な成分として取り出すことが可能となります。
3. 独自技術でサツマイモの眠った力を引き出す
3. 独自技術でサツマイモの眠った力を引き出す |
3.1 植物リポフェノールの由来(基原)はプライミング処理したサツマイモ
サツマイモは、2018年下半期ビューティースーパーフードランキングトップ3にランクイン(日本スーパーフード協会)※1。健康野菜としても日ごろ美味しく食しているサツマイモの塊根ですが、植物自身にとっては繁殖のための重要組織です。そのため、病原菌など地中での様々なストレスに対抗するための特殊な防御機構が備わっています。
その一つがスベリン(コルク層)形成能で、これは人の角質層と類似した機能をもっています。すなわち、外部からの水分や菌の侵入を防ぎ、内部からの水分の蒸散を防ぐ、バリアー機能の役割です。このサツマイモのコルク層にリポフェノールが蓄積していることを、当社は世界で初めて発見しました。
しかしコルク層は、サツマイモ皮層のみに存在する極めて薄い層であるため、植物リポフェノールの量産化は困難なものでした。そこで、サツマイモの能力を「プライミング」※2により最大限に引き出すことにより、組織全体にコルク層を形成させて植物リポフェノールを量産化することに初めて成功しました*1)。
※1: 「シミ対策・エイジングケア・保湿」とスキンケアに求める3大要素を持ち合わせている、化粧品として使用できる素材に限定
※2: プライミング:植物が病害虫や乾燥・加湿などの刺激(プライマー)を受けると、様々な抵抗性を示す。一度そのような刺激を受けた植物では、次に同じ刺激を受けた際に、前よりも防御応答が強まる現象。
*1:柚木ら, さつまいも由来「リポフェノール」の構造と機能性
日本食品科学工学会第65回大会要旨集 p25 (2018)
抽出用原料となるサツマイモとして、茨城県産のサツマイモを用いました。茨城県は、サツマイモ生産量が全国2位で、名産品である干し芋用としての生産が盛んです。干し芋用のサツマイモを収穫する際には、サイズが小さいため干し芋加工には適さないイモが、畑に大量に放置されます(下写真)。この未利用資源を活用して植物リポフェノールの生産を行いました。
当社は、「人と地球をもっと綺麗に、ずっと綺麗に」をミッションに、植物を独特に活用した、環境に優しい化粧品原料の研究開発を行っています。本技術は特許を取得しています(特許6793953号)。
3.2 サツマイモ全体で抗酸化性が大幅にUP
美容スーパーフードでもあるサツマイモ。主に周皮にはアントシアニンやクロロゲン酸などの水溶性ポリフェノールが含まれますが、果肉部には抗酸化成分はほとんど含まれていません。プライミング処理によりサツマイモ全体をコルク化することにより、周皮だけなく、果肉部でも大幅に抗酸化性がUPしました。それに伴い、植物リポフェノールが大幅に増加していることが分かりました。このサツマイモから植物リポフェノールを抽出・精製することで、化粧品原料化に成功しました。
4. 植物リポフェノールのエイジングケア作用① ーシミ・くすみ・炎症ー
4. 植物リポフェノールのエイジングケア作用① ーシミ・くすみ・炎症ー |
4.1 植物リポフェノールのメラニン産生抑制(メラノーマ細胞)
①メラニン産生量/産生酵素活性
<試験方法>
B16メラノーマ細胞を24時間培養、αMSH(メラノサイト刺激ホルモン)およびリポフェノール含有DMEMを加え72時間培養 (比較品としてβアルブチンを使用)
1) 培養後、細胞数測定、メラニン可溶化後、画像を撮影
2) 培養後、細胞生存率を測定。L-DOPAを添加、37℃60分間反応後、チロシナーゼ活性を測定
試験濃度:10, 20 μg/mL *P<0.05 **P<0.01
<結果と考察>
αMSHをB16メラノーマ細胞に添加することで、メラニン産生量とチロシナーゼ活性の増大が見られました。 このαMSH刺激B16メラノーマ細胞において、リポフェノールは濃度依存的にメラニン産生を抑制しました。また、メラニン合成の重要酵素であるチロシナーゼの活性を抑制し、これは同じ有効成分濃度のβアルブチンよりも高い作用をもつことが示されました。
②メラニン産生関連遺伝子
<試験方法>
B16メラノーマ細胞を24時間培養、αMSHおよびリポフェノール含有DMEMを加え48時間培養。その後、RNA抽出よびcDNA合成。cDNAを用いてRT-qPCR
試験濃度:10 μg/mL
<結果と考察>
αMSHをB16メラノーマ細胞に添加することで、TYR、MITFおよびPMEL17の発現量の増大が見られました。αMSHはMC1Rの活性化を介して転写因子MITF(色素細胞特異的転写因子)を刺激し、チロシナーゼ産生を誘導します。
このαMSH刺激B16メラノーマ細胞において、リポフェノールはTYRの発現、ならびに転写因子MITF遺伝子の発現をαMSH無刺激レベルまで抑制しました。メラニン色素沈着(メラノソームの構造タンパク質)に関わるPMEL17も14%抑制しました。この時、同じ有効成分濃度のβアルブチンよりもそれぞれ高い作用をもつことが示されました。
チロシナーゼはメラニン合成の律速酵素、MITFはメラノサイトの発生・分化のマスター制御因子です*)。
NT Nguyen and DE Fisher. Pigment Cell Melanoma Res. 32 224–236 (2019)
4.2 植物リポフェノールの微弱炎症抑制 (ヒト表皮角化細胞)
<試験方法>
ヒト表皮角化細胞を24時間培養、リポフェノール含有DMEMを加え48時間培養。その後、RNA抽出よびcDNA合成。cDNAを用いてRT-qPCR。
試験濃度:10 μg/mL
<遺伝子の特徴>
COX2(Cyclooxygenase-2: シクロオキシゲナーゼ-2)
炎症性エイコサノイドであるプロスタグランジンE2(Prostaglandin E2:PGE2)を作り出す酵素。紫外線などの影響により表皮細胞でCOX2が増加し、PGE2が過剰に作り出されます。このPGE2が色素細胞を刺激して、メラニン産生を促進します。
IL1A(Interleukin-1α: インターロイキン-1α)
表皮細胞から産生される炎症性サイトカイン。産生されたIL-1αは色素細胞を刺激し、メラニン産生を促進します。紫外線などの影響で増加し、シミ形成の原因となります。
SCF(Stem cell factor: 幹細胞増殖因子)
紫外線などの刺激により表皮細胞から産生され、メラノサイトを活性化させる因子。SCFの刺激を受けた色素細胞はメラニンを合成します。過剰に作り出されるとシミの原因となります。
PAR-2(Protease-activated receptor-2: プロテアーゼ受容体)
メラノサイトから表皮細胞へのメラニンの移行に関わり、表皮細胞内にメラニンを貯留させてしまうタンパク質。紫外線や炎症によって増加し、表皮細胞が過剰にメラニンを抱え込むとシミの原因となります。
<結果と考察>
植物リポフェノールは、ヒト表皮角化細胞において炎症関連タンパク質をコードする、シクロオキシゲナーゼ-2(COX2)、インターロイキン-1α(IL1A)、幹細胞増殖因子(SCF)ならびにプロテアーゼ活性化受容体(PAR2)の遺伝子発現を抑制しました。
紫外線などによって発生する活性酸素種(Reactive Oxygen Species, ROS)は、表皮細胞の様々な“遺伝子スイッチ”を入れ、SCF、COX2、IL1Aなどの炎症性のタンパク質の産生が促進されます。また、紫外線や炎症はPAR2も増加させ、表皮細胞が過剰にメラニンを抱え込む原因となります。植物リポフェノールには、これらの炎症因子を抑制することによるシミ抑制効果が期待できます。
4.3 植物リポフェノールの抗酸化作用
<試験方法>
過酸化脂質抑制試験:リノール酸が酸化してできる共役ジエンを測定
スーパーオキシド消去試験:キサンチンオキシダーゼ系により生じるO2-消去能を測定
ラジカル消去試験:DPPHラジカルの消去能を測定
過酸化水素消去試験:過酸化水素から生じる・OHラジカル消去能を測定
試験濃度:2, 20, 200 μg/mL
<結果と考察>
リポフェノールは、20μg/mLの有効成分濃度で高い過酸化脂質抑制効果を示しました。また、2μg/mLという低濃度でラジカル消去活性と過酸化水素消去活性が認められました。
リポフェノールは皮膚深くへと浸透し、紫外線暴露により生じるROSを消去することにより肌内部での抗炎症作用や光老化抑制効果が期待できます。また、過酸化脂質の生成を抑制することにより、過脂化メラニンの産生を抑え、皮膚のターンオーバーを正常化することによる、シミ抑制効果も期待できます。
4.4 シミ・くすみ抑制作用まとめ
シミ・くすみ抑制作用における4つのメカニズム
✔ MITF抑制作用
✔ 抗チロシナーゼ作用
✔ 微弱炎症抑制
✔ 活性酸素消去作用
植物リポフェノールはシミ・くすみ抑制効果において多様な作用点をもちます。
①表皮の奥深くまでROS(活性酸素)を消去することでメラノサイト刺激因子の生成を抑制
②メラノサイト刺激性の炎症関連タンパク質(IL1A, COX2, SCF)の発現抑制
③メラニン移送タンパク質PAR2の発現抑制
④MITFを刺激することでメラニン産生を促進させるα-MSHシグナルの抑制
⑤メラニン合成のマスター転写因子MITFの発現抑制
⑥チロシナーゼ酵素の活性と遺伝子発現の抑制
などが挙げられます。一部試験においては、シミ対策成分であるβアルブチンよりも高い活性を示しました。
植物リポフェノールを構成しているカフェ酸はチロシンと構造が類似していることから、チロシナーゼの疎水性活性部位に結合します。そのため、メラニン合成を拮抗阻害することが知られています*1)。
また、生体内抗酸化酵素や解毒酵素の発現を制御している転写因子Nrf2は、カテコール構造により活性化することが知られています*)。つまり、カテコール構造をもつリポフェノールがNrf2を活性化し、生体自身の酸化ストレス抑制能を高めることによりROSの産生を抑制していることも考えられます。
これらの効果が、リポフェノールの皮膚浸透性の高さにより高次に発現することが期待されます。
K-Y Park and J Kim. Front Pharmacol. 17 (2020)
*2: Caffeic acid phenethyl ester activation of Nrf2 pathway is enhanced under oxidative state: Structural analysis and potential as a pathologically targeted therapeutic agent in treatment of colonic inflammation
H Kim et al. Free Radic Biol Med. 65 (2013)
5. 植物リポフェノールのエイジングケア作用② ーシワ・たるみー
5. 植物リポフェノールのエイジングケア作用② ーシワ・たるみー |
5.1 真皮ヒアルロン酸産生促進(HAS1/2生成促進)
<試験方法>
真皮線維芽細胞を24時間培養後、リポフェノール含有DMEMを加え24時間培養。その後、RNA抽出よびcDNA合成。cDNAを用いてRT-qPCR(ヒト表皮角化細胞と同様)
試験濃度:2.5, 5, 10, 20 μg/mL
<結果と考察>
リポフェノール無添加の発現量を1としたとき、リポフェノールは真皮線維芽細胞のヒアルロン酸合成酵素遺伝子の発現を濃度依存的に促進させました。これにより、真皮ヒアルロン酸が増加し、真皮中の水分が保持され、肌にハリを与えシワの形成を抑える効果が期待できます。
HAS2は表皮幹細胞膜に存在するHAS3よりも高分子のヒアルロン酸を産生するとされています。
5.2 コラーゲン保護(MMP1活性阻害)
<試験方法>
MMP1活性阻害試験:ヒトリコンビナントMMP1と検体をインキュベートした後、基質と反応させ比色測定
試験濃度:1.5, 15, 150 μg/mL **P<0.01, *** P<0.001
<結果と考察>
コントロール(同一溶媒)のMMP1活性に対して、植物リポフェノールはMMP1活性を最大で35%抑制しました。
MMP1(マトリクスメタプロテアーゼ-1)は、肌のコラーゲンの分解を促進する酵素です。加齢や紫外線などによって発生したROSは線維芽細胞を刺激します。刺激を受けた線維芽細胞では、コラーゲンの分解酵素であるMMP1の産生が促進されます。分解酵素によるコラーゲンの減少や変性は、肌の柔軟性や水分保持機能を低下させます。
植物リポフェノールには、MMP1活性を抑制することによる抗光老化作用が期待できます。
6. 植物リポフェノールのエイジングケア作用③ ーうるおいー
6. 植物リポフェノールのエイジングケア作用③ ーうるおいー |
6.1 表皮ヒアルロン酸産生促進(HAS3生成促進)
<試験方法>
ヒト表皮角化細胞を24時間培養後、リポフェノール含有DMEMを加え24時間培養。その後、RNA抽出よびcDNA合成。cDNAを用いてRT-qPCR
試験濃度:10, 20 μg/mL
<結果と考察>
リポフェノールは表皮でのヒアルロン酸合成を担うHAS3の発現を促進させました。これにより、表皮中のヒアルロン酸量が増加し、角層の保湿機能が維持されます。
6.2 老化ホルモンがもたらす肌乾燥の抑制(コルチゾル誘導FLG低下抑制)
❚ 心理的ストレスは皮膚の保湿バリア機能を低下させる
人は心理的ストレスにさらされると、副腎の他、表皮細胞や真皮線維芽細胞もコルチゾルを産生します。コルチゾルは表皮細胞の増殖を低下させ、表皮を萎縮させます。さらに、フィラグリン、インボルクリン、ロリクリン、デスモグレイン1といった表皮バリアに関係するタンパク質を減少させてしまいます*1)。コルチゾルは加齢ではあまり変化しませんが、コルチゾル増加後の正常化に時間がかかるようになるといわれています。また、コルチゾルはエネルギーを獲得するために血糖値を上げますが、その時に活性酸素が発生します。活性酸素は肌を老化させてしまうため、“ストレスホルモン”コルチゾルは“老化ホルモン”でもあります*2)。
EH Choi et al. Am J Physiol Regul Integr Comp Physiol. 291 1657-62 (2006)
*2: Brain-skin connection: stress, inflammation and skin aging.
Y Chen and J Lyga. Inflammation & Allergy – Drug Targets. 13 177-190 (2014)
<試験方法>
ヒト表皮角化細胞を24時間培養。コルチゾル、リポフェノール含有DMEMを加え48時間培養。その後、RNA抽出よびcDNA合成。cDNAを用いてRT-qPCR
試験濃度:10, 20 μg/mL
<結果と考察>
ストレスホルモンであるコルチゾルをヒト表皮角化細胞に添加すると、保湿・バリア因子である表皮フィラグリン合成遺伝子の発現量が低下することが分かりました[コルチゾルは表皮ヒアルロン酸も低下]。フィラグリンは肌の保湿成分である天然保湿因子(Natural Moisturizing Factor:NMF)の素となるタンパク質で、表皮ヒアルロン酸と共に肌のうるおいの基になります。植物リポフェノールはストレス負荷に晒された表皮細胞のフィラグリンの低下を抑制しました。すなわち、植物リポフェノールは心理的ストレスにより引き起こされる肌の乾燥を防ぎ、肌にうるおいを与えることが期待できます。
❚ 心理的ストレスはアトピー性皮膚炎を悪化させる
アトピー性皮膚炎の患者の約2~3割に、角層形成にも重要なフィラグリンを作る遺伝子に異常があることが分かっています。フィラグリンは表皮の顆粒細胞で産生されるタンパク質で、ケラチンと結合してケラチンパターンを形成し、皮膚バリア機能にかかせない役割も担っています。
心理的ストレスによって表皮バリア機能が低下すると、皮膚は刺激を受けやすくなりアトピー性皮膚炎は悪化します*2)。なお、コルチゾル自体には表皮バリア破壊と同時に抗炎症作用もあり、心理的ストレスによるコルチゾル分泌下においては、表皮バリア破壊>炎症抑制、となっていると考えられます。
7. 製品情報
7. 製品情報 |
■原料情報
・主に茨城県産のさつまいも塊根を使用
・特許6793953号(出願人: サティス製薬)
・商標登録6132346
・表示名称:サツマイモ根エキス
・INCI名: Ipomoea Batatas Root Extract
・中文名称:甘薯(IPOMOEA BATATAS)根提取物
・剤型:オイル溶解物、BG溶液
■安全性情報
・24時間閉塞パッチテスト:刺激性なし
・SIRC細胞を用いた眼刺激性試験:刺激性なし
・ROSアッセイによる光毒性試験:陰性