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南信の山楂子エキス

 
ふるさと元気プロジェクト [医薬部外品表示名称:サンザシエキス]
              ※油溶性サンザシエキスも

〜フィトケミカル豊富な真っ赤な果実のエキスが肌表層・角層ケア〜

敏感肌ニキビ&黄ぐすみケア原料2024.07.12

✔︎ 美容レッドフルーツ「山楂子」にはフィトケミカルが凝縮
✔︎ 果実表皮のブルーム*は高浸透性の肌保護成分
✔︎ 潤い・育菌・アクネ菌炎症因子制御で敏感肌ニキビケア
✔︎ 光刺激による肌の黄ぐすみ・シミも予防

  *果皮表面に浮き出るトリテルペン酸などを含む白い粉(果粉)


  目 次

  • 1. 期待される効果と有効性情報

  • 2. 山楂子とは

  • 3. 山楂子の多彩なフィトケミカル

  • 4. 山楂子の多彩な角層ケア作用

  • 5. メラノサイト刺激ホルモン下におけるメラニン産生抑制

  • 6. 原料情報

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    1.期待される効果と有効性情報

    期待される効果

    ■敏感肌・ニキビ・抗炎症・美肌菌・シミ・透明感・保湿

    有効性情報

    ■敏感肌ニキビ・抗炎症
    美肌菌バランス(表皮ブドウ球菌/アクネ菌比増加:臨床試験)
    アクネ菌誘導性細胞炎症抑制(培養上清刺激細胞内ROS産生抑制)
    敏感肌・ニキビ抑制(CAMPファクター誘導PAR2産生抑制)
    ポルフィリン抑制(臨床試験)
    過酸化脂質生成抑制(リノール酸過酸化抑制)
    活性酸素消去(O2-・OHラジカル消去)

    ■シミ・透明感
    角層カルボニル化抑制(タンパク質酸化抑制、UV保護)
    紅斑個数低下(臨床試験)
    ヘモグロビン量低下(臨床試験)
    メラニン産生抑制(メラニン量)

    ■保湿
    肌水分量
    水分蒸散量
    肌酸性化


     

    2.山楂子とは

    サンザシ(山楂子、学名: Crataegus cuneata、英語名:Hawthorn)は、バラ科サンザシ属の落葉低木で、秋には真っ赤な小果実を実らせます。中国では身近な果実で、旬となる秋には「山を赤く染める」といわれるほどです。

    日本には江戸時代(1734年)に中国から薬用の樹木として小石川御薬園に持ち込まれました。その後は庭木や盆栽として栽培されているものの、日本では主たる産地はありません。中国では3000年近い栽培の歴史があり、民間薬や食用として重宝されており、今でもドライフルーツとして日常的に食されています。
     

    2.1 スーパーレッドフルーツ「山楂子」

    サンザシやオオミサンザシ(C. pinnatifida)の果実には抗菌、抗酸化作用があり、古くから生薬として利用されています。民間薬として女性の月経痛、産後の痛み改善、消化系の不調改善に利用されてきました。また山楂子には、抗高脂血症作用や抗アルツハイマー作用など様々な効能が期待できることが報告されています1,2)。

    1) Triterpenic acids in hawthorn lower plasma cholesterol by inhibiting intestinal ACAT activity in hamsters.
     Y Lin et al. Evid Based Complement Alternat Med (2011)
    2) Polyphenolic profile and biological activity of Chinese hawthorn (Crataegus pinnatifida BUNGE) fruits.
     T Jurikova et al. Molecules 17(12) 14490–14509 (2012)


    2.2 南信州の山楂子プロジェクト

    江戸時代から、山楂子は日本各地の薬用植物園での栽培が推奨されてきましたが、現在ではほとんど農業生産されていません。そんな中、山楂子を特産品にするべく、南信州高森町を中心とした複数の団体(代表:藥壺堂)により「山楂子プロジェクト」が結成されました。

    栄養豊富であるが希少な植物資源を広めようとする同プロジェクトに我々も共感し、「南信の山楂子」の美容素材としての価値を引き出すべく、化粧品原料開発に着手しました。
     

    3.山楂子の多彩なフィトケミカル

    3.1 山楂子のフィトケミカルは果実トップレベル

     
    山楂子の主要なフィトケミカルとして、抗酸化性の高いエピカテキンやその重合体であるプロシアニジンの他、ケルセチン配糖体やクロロゲン酸が、また美容成分としても注目されるウルソール酸、オレアノール酸、マスリン酸などのトリテルペン酸などが検出されました。

    フルーツとして食されることの多いバラ科果実を入手し、山楂子のフィトケミカルと比較したところ(下図)、山楂子のフィトケミカル量はトップレベルであることがわかりました。山楂子はまさに「スーパーレッドフルーツ」です。
     

     
    さらに、性質の異なるフィトケミカルを余すことなく抽出するために、最適な抽出条件を設定しました(下図)。
     


    3.2 肌の隅々まで浸透

    山楂子フィトケミカルの角層への浸透性を調べたところ、各種フィトケミカルが表層から深層まで広く浸透し、なかでもオレアノール酸やマスリン酸などのトリテルペン酸が角層の深くまで届くことがわかりました。

    果実表面の保護ベール成分であるトリテルペン酸は、抗菌力を発揮したり、果実の乾燥を防ぐ役割を担っています。これらの成分は化粧品成分としても注目されていますが、それが実は高い浸透性に支えられていることはあまり知られていません。
     

    4.山楂子の多彩な角層ケア効果

    4.1 うるおい改善・ポルフィリン抑制(臨床試験)

    <試験方法>
    山楂子エキスを2週間塗布。試験環境に肌を馴化させた後に各種肌パラメーターを測定
    ・角層水分量を測定:Corneometer CM825
    ・経皮水分蒸散量測定:Tewameter TM300
    ・pH測定:Skin-pH-Meter PH905
    ・ヘモグロビン量測定:Mexameter MX18
    ・紅斑およびポルフィリンの個数を解析:VISIA® Evolution


     

    山楂子エキス(5%)を頬に塗布し、塗布前後の肌パラメーターの変化を測定しました。その結果、肌水分量は増加し、水分蒸散量とpHは低下する傾向が見られました。

    さらに、肌のヘモグロビン量低下に伴い紅斑個数(VISIA計測)の低下が観察されました。アクネ菌が産生することで知られるポルフィリンが低下していました。ポルフィリンは紫外線に当たると活性酸素を発生させたり、ニキビの重症化とも関わることがわかっています3)。また発生した活性酸素は、表皮炎症によるシミ発生や、角層カルボニル化による黄ぐすみの原因にもなります。

    3) Porphyrins produced by acneic Cutibacterium acnes strains activate the inflammasome by inducing +leakage.
     K-J Spittaels et al. iScience 24(6) (2021)


     


    4.2 美肌菌バランス改善(臨床試験)

    <試験方法>
    塗布試験前後の肌から採取したスワブから抽出して得られたDNAサンプルを使用。Ion16S Metagenomics Kit により増幅された16srRNAをシーケンサーで読み取り塩基配列決定。NCBI16sMicrobial r202311(bacteria) でブラスト検索


     

     
    山楂子エキスを肌に塗布し、塗布前後の表皮ブドウ球菌とアクネ菌の割合の変化を測定しました。山楂子エキスを塗布すると、表皮ブドウ球菌/アクネ菌比が約2倍まで増加することがわかりました。

    約1000種ともいわれる多様な菌が共存する肌ですが、美しい肌には「美肌菌」が多いというのも事実です。その代表的な菌が表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)です。表皮ブドウ球菌は皮脂や汗をエサとしてグリセリンと脂肪酸を作り出すことで、肌にうるおいを与え、肌を弱酸性に整えます。

    表皮ブドウ球菌は、病原性細菌である黄色ブドウ球菌の繁殖を防ぐことも報告されています4)。また、敏感肌ではアクネ菌に対する表皮ブドウ球菌の割合が低くなっていることが報告されています5)。

    肌にうるおいを与え、バリア機能を維持し、敏感肌を改善するためには、表皮ブドウ球菌の育成が重要となります。山楂子エキスには、肌の菌叢バランスを整え、敏感肌を改善する効果が期待できます。

    4) 皮膚常在菌と老化との関係
     須谷尚史 BEAUTY#22 Vol.3 (9) (2020)
    5) 敏感肌での皮膚常在菌叢
     柴垣奈佳子 オレオサイエンス 23(11) (2023)


     


    4.3 アクネ菌産生物による炎症を抑制

    炎症性尋常性ざ瘡、いわゆるニキビは世界中で何億人もの人々を苦しめている皮膚疾患です。当社は、ニキビあるいは敏感肌ニキビのケアにおいては、アクネ菌自体を減らすのではなく、アクネ菌が作り出す悪性因子の制御を軸に開発を進めています。

    アクネ菌は、その代謝産物であるプロピオン酸や脂肪酸によって皮膚表面を弱酸性に保ち、さらに有害菌の皮膚への定着を防ぐという役割をもっています。しかし、過剰に分泌した皮脂が毛穴が詰まらせると、酸素が少なくなりアクネ菌は過剰に増殖してしまいます。

    この時アクネ菌がリパーゼやプロテアーゼ、あるいはCAMPファクターなどの毒素を産生し、それらが直接あるいはその代謝産物が炎症の原因となります。アクネ菌を培養すると培地中には様々な炎症因子が作り出されることがわかっています。

    例えば、アクネ菌培養上清に含まれるプロテアーゼが皮膚のPAR2(表皮に存在するプロテアーゼ受容体。炎症やかゆみのシグナル伝達に強く関わる)を活性化することで、IL-1αやTNF-αなどの炎症性サイトカインが誘発されることが報告されています6)。

    <試験方法>
    ケラチノサイトを培養、細胞内ROS検出試薬としてH2DCFDをHBSSで希釈後添加し、30min保持。洗浄後、山査子エキスをHBSSで濃度調製して添加。Ex: 485 nm/Em: 535 nmにて蛍光強度を測定
    試験濃度: 5, 15, 50, 150 μg/mL
    *Different letters indicate statistically significant differences


     

     
    今回我々は、アクネ菌培養上清液をケラチノサイトに添加することで、細胞炎症の元凶となるROS産生が促進されることを見出しました。そこに山楂子エキスを添加すると、濃度依存的に炎症レベルの抑制が観察され、その効果はエキス添加初期の30minから360min経過しても持続することが示されました。

    アクネ菌といえばニキビ、というだけではありません。美肌菌として知られる表皮ブドウ球菌とアクネ菌との菌叢バランスの乱れは、敏感肌の原因になるともいわれています5)。また、アクネ菌の暴走により生じるPAR2活性化は、肌の炎症を引き起こすだけでなく、かゆみの原因でもあることから外的刺激に対して肌を過敏にさせてしまいます6)。

    6) Protease-activated receptor-2 mediates the expression of inflammatory cytokines, antimicrobial peptides, and matrix metalloproteinases in keratinocytes in response to Propionibacterium acnes.
    S E Lee et al. Arch Dermatol Res. 302(10) 745–756 (2010)


     


    4.4 アクネ菌産生毒素「CAMPファクター」によるPAR2誘導を抑制

    ◆CAMPファクターとは? ※発見者から命名:Christie–Atkins–Munch–Peterson (CAMP)

    CAMPファクターはアクネ菌が分泌する炎症を引き起こす毒素です。毛穴が詰まり、アクネ菌の好きな無酸素状態になるとCAMPファクターが分泌されることでニキビが生じます。
     

     
    ◆山査子エキスがCAMPファクター誘導炎症を抑制

    肌はアクネ菌などの細菌に対して3つのセンサーをもつとされています。それはTLR2、NLR2インフラマソーム、PAR2の3つです。今回、CAMPファクターがPAR2(表皮や脂腺細胞に存在する炎症センサー)を活性化させ、それを山査子エキスが抑制することを初めて発見しました。

    1) The role of immunological reaction and pro inflammatory mediators in acne vulgaris rtiopathogenesis, applications in dermatology practice.
    Lely Nurjanti. Int J Clin Expl Dermatol. 4 (2019)


     


    4.5 紫外線による肌の黄ぐすみを抑制(透明感)

    <試験方法>
    テープストリッピング法により前腕内側の角層を採取し、検体塗布。
    ソーラーシミュレーター(SUNTEST CPS+)照射後、PBSで洗浄。5-FTSCで染色後、蛍光顕微鏡観察および蛍光強度測定
    試験濃度:1, 3, 10 μg/mL
    **P<0.01

    山楂子エキスは、UV照射により引き起こされる角層タンパク質の酸化(カルボニル化)を抑制しました(蛍光画像とグラフデータ)。
     

     
    肌老化の大きな原因の一つとして紫外線暴露が挙げられます。紫外線は肌細胞の老化を促進させるだけでなく、肌組織の構造タンパク質などを変性させます。ケラチンなどの表皮構造タンパク質の変性は、「黄ぐすみ」などで表現される肌の見た目の老化に深く関わります。角層タンパク質のカルボニル化を抑制することで、肌の黄色変性を防ぎ、肌に透明感をもたらすことが期待できます。
     


    4.6 抗酸化作用

    <試験方法>
    ・スーパーオキシド消去試験:キサンチンオキシダーゼ系により生じるO2-消去能を測定
    ・OHラジカル消去試験:過酸化水素から生じる・OHラジカル消去能を測定
    ・過酸化脂質抑制試験:リノール酸が酸化して生じる共役ジエンを測定
    試験濃度:3, 30 μg/mL
    **P<0.01, ***P<0.001


     

     
    山楂子エキスは濃度依存的に活性酸素を消去しました。また、過酸化脂質生成においても30μg/mLの濃度で75%の高い阻害率を示しました。

    アクネ菌の産生するポルフィリンは紫外線と反応することで活性酸素を発生させます。この活性酸素が皮脂を酸化させ、毛穴の詰まりや炎症を引き起こします。また、過酸化脂質の生成はバリア機能の低下にもつながります。山楂子エキスは、その活性酸素消去作用により皮脂の酸化を防ぎ、バリア機能を維持・強化することで敏感肌・ニキビケアに効果的であると考えられます。
     

    5.メラノサイト刺激ホルモン下におけるメラニン産生抑制

    <試験方法>
    B16メラノーマ細胞を24時間培養、α-MSH(メラノサイト刺激ホルモン)および山楂子エキス含有DMEMを加え72時間培養。培養後、細胞数測定、メラニン可溶化後、OD405で測定
    試験濃度:140, 470 μg/mL


     

     
    α-MSHをB16メラノーマ細胞に添加すると、メラニン産生量が促進されました(上左図)。

    紫外線刺激により表皮細胞から過剰にα-MSHが分泌され、メラノサイト表面にあるMC1R(メラノコルチン1受容体)の活性化を介して転写因子MITF(色素細胞特異的転写因子)が刺激され、チロシナーゼ生成が誘導されます。その結果、メラニンが産生されます。

    このα-MSH刺激B16メラノーマ細胞において、山楂子エキスはメラニン産生を有意に抑制しました(上左図)。この時、細胞生存率には影響を与えませんでした(上右図)。

    以上から、山楂子エキスはメラノサイトに傷害を与えることなくシミを抑制することが期待できます。
     

    6.原料情報

     
    原料情報
    化粧品原料名:フィトログ 南信の山楂子エキス
    化粧品表示名称:サンザシエキス
    INCI: Crataegus Cuneata Fruit Extract
    中文名称:野山楂(CRATAEGUS CUNEATA)果提取物
    安全性情報:陰性(眼刺激 / 皮膚一次刺激 / 光毒性) 
    自然由来指数:100%(水を含む)※ISO 16128規定の自然原料等の定義と計算方法に基づく
    産地:長野県など国産

    医薬部外品表示名称:サンザシエキス
    INCI: Crataegus Fruit Extract

    安全性情報
    ・24時間閉塞パッチテスト:刺激性なし
    ・SIRC細胞を用いた眼刺激性試験:刺激性なし
    ・ROSアッセイによる光毒性試験:陰性

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