ふきの芽フィトカンナビノイド~花粉~
ふるさと元気プロジェクト
季節の変わり目のゆらぎ肌を鎮静
ーCBDアントラージュ効果で花粉皮膚炎を抑制ー
花粉皮膚炎・外因性肌老化ケア原料 ~ふきの芽フィトカンナビノイド~2024.03.27
ーCBDアントラージュ効果で花粉皮膚炎を抑制ー
✔︎ スギ花粉アレルゲンは肌の酸化レベルを高めることで炎症を誘導
✔︎ 春一番の苦味植物ふきの芽が花粉誘導の表皮細胞の炎症を抑制(CBD様作用)
✔︎ ふきの芽はCBDアイソレートと併用することで活性が大幅に増大(アントラージュ効果*)
*「側近」の意味で相乗効果のこと
目 次
1. 期待される効果と有効性情報
2. ふきの芽エキスはフィトカンナビノイドとして機能する
3. ふきの芽フィトカンナビノイドによる皮膚炎の抑制効果
4. 「ふきの芽フィトカンナビノイド」の原料情報
1. 期待される効果と有効性情報
1. 期待される効果と有効性情報 |
■花粉皮膚炎(肌あれ)・敏感肌・外因性肌老化
■花粉皮膚炎・敏感肌 <その他有効性> ※リンクあり ■シミ
抗炎症(Cryj1刺激細胞内ROS産生)
抗炎症(CBDアントラージュ効果)
Cryj1:スギ花粉アレルゲン
■ニキビ(皮脂)・毛穴・毛髪
皮脂:
皮脂量調節(臨床試験)
抗炎症:
抗炎症(PAR2)
抗炎症(COX2)
抗炎症(EDN1)
抗炎症(SCF)
抗酸化:
皮脂酸化抑制(過酸化脂質)
活性酸素消去(O2-ラジカル)
活性酸素消去(OHラジカル)
メラニン抑制:
メラニン生成抑制(TYR)
メラニン生成抑制(MC1R)
2. ふきの芽エキスはフィトカンナビノイドとして機能する
2. ふきの芽エキスはフィトカンナビノイドとして機能する |
2.1 大麻草CBDの効能と課題
■CBDの効能
大麻草由来のカンナビノイド類の中で、カンナビジオール(CBD)は向精神作用がなく様々な薬理効果が期待されている注目の成分です。
CBDには抗てんかん作用があることが報告されたことで、世間に広く知られるようになりました。また、ストレス緩和や鎮静といったリラックス系の効果が期待され、これまでに多くのCBD商品が販売されています。
人体のあらゆる臓器にエンドカンナビノイドシステム(ECS)は存在し、肌にもカンナビノイドレセプターが存在します。CBDはレセプターにリガンドとして作用することで、その機能が発現します。
CBDの外用剤としての機能には、痒み(アトピー性皮膚炎)、乾癬(バリア不全)、炎症(皮脂・ニキビ)に対する抑制作用などが挙げられます(1)。また、CBDが頭皮に有効であるとの期待から(2)、CBD入りヘアケア製品がアメリカでは人気になっています。抗酸化・抗炎症作用への期待から、化粧品への活用も進んでいます。
SM Baswan et al. Clin Cosmet Investig Dermatol. 13 927–942 (2020)
2) Hair regrowth with cannabidiol (CBD)-rich hemp extract – A case series
G. Smith & John Satino Cannabis 4 53-59 (2021)
■CBDの課題
注目のCBDですが、その起源は大麻草(Cannabis sativa L.)に限定されます。精神活性物質THC(テトラヒドロカンナビノール)を含まないCBD製品が輸入されていますが、起源が大麻草である以上、抽出部位や製品規格には厳しい規制があります。
また、日本国内では原則栽培禁止であり、国産原料を求めることができない「アンサステナブル」な原料ともいえます。
CBDは単体(アイソレート)で摂取するよりも、大麻草由来の複数のフィトケミカル(未精製成分)を含む「フルスペクトラム」として摂取した方がより高い生理機能が見込めるとされています(アントラージュ効果)。
しかし、その様な未精製の大麻草由来原料にはTHCの混入が懸念されます。このことから、日本国内では精製CBD(アイソレート)の利用が主流となっています。
大麻草本来の薬理効果は高いのに、精製されたCBDでは活性は弱くなってしまう、そんな報告も多数あります。しかしTHCを取り除くためには精製しなければならない。
CBDはそんなジレンマを抱えています。
また、法的問題がクリアされていたとしても、大麻草由来原料を使うこと自体に心理的な抵抗感があるのも事実です。
このような背景から、我々は日本の植物素材からCBD様作用の期待できるフィトカンナビノイドの探索を進めてきました。
2.2 ふきの芽エキスはCBD様作用を発揮
■ふきの芽エキスに含まれるフィトカンナビノイド
春一番に雪の中から顔出すふきの芽(フキノトウ)は、外敵から身を守るために苦み成分を蓄えています。そのため春にお腹を空かせた野性の鹿ですら食べないとか。しかし、「春の皿には苦みを盛れ」という食物養生法があるように、日本人はこの苦み成分を春の体調不良の改善に活用してきました。
ふきの芽には、クロロゲン酸やフラボノイド類のほか、フキノール酸、フキ酸、ペタシフェノールといったフキ特有のポリフェノール類が多種存在します。
セスキテルペン類も豊富で、イソペタシン系やバッケノリド系(フキノリド系)、フキノン系といったフキ特有のテルペン類が含まれています。
ふきテルペンの主成分であるイソペタシンは、大麻草CBDカンナビジオールと分子量がほぼ同じで、構造も類似しています(下図)。
このことから我々は、ふきテルペンがCBD様作用を発揮するフィトカンナビノイドの1種であると考え、本原料を「ふきの芽フィトカンナビノイド」と名付けて皮膚科学的な研究を進めてきました。
なお、カンナビノイド以外でCBD様作用をもつ成分は複数知られていて、大麻草にも含まれるβ-カリオフィレン(セスキテルペン)はフィトカンナビノイドであることがよく知られています(1)。
G Lee et al. J Nutr Food Sci. 11 803 (2021)
■ふきの芽フィトカンナビノイドがCBD様作用を発揮
CBDは肌のECSに作用することで、痛み・痒み、炎症、しみに効果があるとされています。また、炎症抑制に加えて皮脂分泌を整えることから、ニキビケアにも効果的です。
我々は、ふきの芽フィトカンナビノイドが肌でCBD様作用を発揮することで、皮脂バランスを改善すること、シミ抑制に効果があることをすでに報告しています。
2.3 CBDアントラージュ効果
■アントラージュとは?
ギリシャ語を語源とする「シナジー」には、「複数のものがお互いに作用し合い、効果や機能を高めること」という意味があり、ビジネスでもよく用いられます。これは薬理学でも重要な言葉で、薬剤シナジーともいわれます。免疫学ではアジュバント(ラテン語の”助ける”)という言葉も使われています。
これらと同様の意味をもつ「アントラージュ」は、1998年にイスラエルのエンドカンナビノイドの研究グループにより提唱されました。
生体内のエンドカンナビノイド(カンナビノイド受容体の内因性リガンド)である2-アラキドノイルグリセロールの活性が、それ自体は不活性の類似化合物が共存することで大幅に増大することから、このことを「側近効果」と名付けたのが最初です。アントラージュはフランス語で「側近」の意味です。
CBD単体を摂取するよりも、他のフィトカンナビノイドやテルペン類を同時に摂取した方がより高い効果が期待できることを意味します。
S Ben-Shabat et al. Eur J Pharmacol. 353 23-31 (1998)
■ふきの芽フィトカンナビノイドがCBDのアントラージュになりうる?
アントラージュ効果を最大限発揮し、大麻草(ヘンプ)本来の強い生理活性を示すのがフルスペクトラムCBDです。これには大麻草成分であるカンナビノイド、テルペン類、フラボノイド類が数百種類以上含まれていますが、THCの混入も懸念されます(下図)。CBDアイソレートではTHCの混入リスクはほとんどありませんが、アントラージュ効果を発揮できないため活性は弱くなってしまいます。
本原料「ふきの芽フィトカンナビノイド」にはふきの芽特異的なポリフェノールやテルペン類が豊富に含まれています。
自身がフィトカンナビノイドとして働くだけでなく、アントラージュ効果によりCBDアイソレートの働きを高める効果もあるのでは、と考えました。
3. ふきの芽フィトカンナビノイドによる皮膚炎の抑制効果
3. ふきの芽フィトカンナビノイドによる皮膚炎の抑制効果 |
3.1 皮膚の微弱炎症は外因性肌老化の元凶
季節の変わり目は肌荒れに注意が必要とされています。これは「ゆらぎ肌」ともいわれます。
春や秋の寒暖差、冬から春にかけての空気の乾燥や強風、社会問題にもなっているスギ花粉の大量飛散、春から夏にかけての紫外線の増加などの環境要因が、肌のバリア機能を低下させます。
乾燥した肌ではIL-1αなどの炎症性サイトカインが発現し、微弱な炎症が起こっています。これにより肌内部では酸化ストレスが高まっており、外因性の肌老化につながります。
図 外因性肌老化
3.2 外因性の肌の炎症性因子として花粉アレルゲンを選定
■CBDといえば抗炎症作用
CBDといえば抗炎症効果が広く知られています。接触性皮膚炎(アレルギー性皮膚炎)に対する炎症抑制効果もあるとされています。CBD様作用を発揮するふきの芽にも外的刺激に対する抗炎症効果が期待できます。
■日本人と花粉皮膚炎
日本における外因性皮膚炎としては、季節性の花粉皮膚炎が大きな問題となっています。日本人の花粉症罹患率は二人に一人といわれて社会問題の一つとなっていますが、花粉皮膚炎は花粉症の症状がない人でも生じることが分かっています。日本では春のスギ花粉をはじめとして、夏のイネ科花粉、秋のブタクサ花粉と実は1年中何らかの花粉が飛散しています。つまり、ほぼ1年中肌は花粉の影響を受けているといえます。
このことから、花粉などの外的刺激に対しては毎日のスキンケアが大切となります。
■スギ花粉アレルゲンCryj1(クリj1)が肌の炎症を引き起こす
・Cryj1が肌のバリア機能を低下させる
・Cryj1が好酸球の活性酸素生成を促進させる
・Cryj1が外的ストレスの肌センサーであるPAR2を活性化させる
・PAR2の活性化は肌の酸化ストレスを高め、炎症を誘導する
以上から、肌の外的刺激因子として花粉アレルゲンを選定しました。
J Kumamoto et al. Arch Dermatol Res. 308 49-54 (2016)
・Japanese cedar pollen upregulates the effector functions of eosinophils
S Miyauchi et al. Asia Pac Allergy. 11 (2021)
・皮膚のかゆみのメカニズム
江川形平 アレルギー 69 256-259 (2020)
・Protease-activated receptor 2 induces ROS-mediated inflammation through Akt-mediated NF-κB and FoxO6 modulation during skin photoaging
E Bang et al. Redox Biol. 44 (2021)
■花粉皮膚炎にはふきの芽が有効?
・炎症抑制に有効なテルペン類をフキ葉よりも豊富に含み、ポリフェノール類も豊富に含む「ふきの芽」
・CBDと構造が類似しているセスキテルペンをもち、CBD様作用を発揮する「ふきの芽」
・ケラチノサイトのPAR2の発現を抑制する「ふきの芽」
ふきの芽フィトカンナビノイドであれば、外的刺激(花粉)が引き起こす肌荒れを防ぐことが期待できます。
3.3 ふきの芽は花粉皮膚炎の鎮静においてCBDアントラージュ効果を発揮
ケラチノサイトにスギ花粉アレルゲンCryj1を添加することで、細胞内ROS(活性酸素種)産生が有意に促進されました(下左図)。我々の調べた限り、これは初めての知見となります。外的刺激に対して細胞が特異的にROS産生を活性化させることで、生体内で炎症が生じることが分かっています。
図 ”ふきの芽フィトカンナビノイド”の炎症抑制効果とCBDアントラージュ効果
このCryj1刺激条件下において、
結果①:「ふきの芽フィトカンナビノイド」は14%有意に炎症を抑制
結果②:「精製CBD(アイソレート)」は炎症に対する有意な効果はなし
結果③:「ふきの芽フィトカンナビノイド+精製CBD」は34%有意に炎症を抑制
→この効果は結果①の14%抑制よりも有意に高い(P<0.05)
■ふきの芽フィトカンナビノイドのアントラージュ効果が精製CBDの抱える課題を解決
今回、精製CBD単体では効果のなかった炎症抑制効果において、ふきの芽フィトカンナビノイドが加わることで、大幅に活性を高めることに成功しました。
これはまさにアントラージュ効果であり、ふきの芽フィトカンナビノイドを、CBD様作用をもつ植物原料として単体で使用することも、CBDと組み合わせて互いの効果を高めることも可能です。
日本国内の法改正にともないCBD市場も今後ますます活況を呈していくことが予想されています。本原料「ふきの芽フィトカンナビノイド」を配合した化粧品だけでなく、「CBD with ふきの芽」化粧品を並行して開発していくことで、安心で高性能な化粧品づくりに貢献していきます。
4. 「ふきの芽フィトカンナビノイド」の原料情報
4. 「ふきの芽フィトカンナビノイド」の原料情報 |
原料情報
原料名:ふきの芽フィトカンナビノイド
素材・産地:秋田県産のアキタブキ(フキノトウ)
製品英語名:Japanese Butterbur Bud Phytocannabinoid
表示名称 :フキ芽エキス
INCI:Petasites Japonicus Bud Extract
自然由来指数:100%(水を含む)※ISO 16128規定の自然原料等の定義と計算方法に基づく
安全性情報
・24時間閉塞パッチテスト:刺激性なし
・SIRC細胞を用いた眼刺激性試験:刺激性なし
・ROSアッセイによる光毒性試験:陰性