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お知らせ

人工皮脂による化粧崩れを評価する試験を確立し、受託試験を開始することになりました。化粧品の皮脂への馴染み具合を調べることにより、化粧品の崩れ易さを評価することができます。

皮脂の役割

皮脂は毛穴の奥に存在する皮脂腺から分泌される「油」です。
皮脂は摂取・蓄積していた脂肪が外に捨てられただけのものではなく、きちんとした役割があります。まず、皮脂は皮膚表面を覆うことで滑らかな状態を作り、肌を傷つきにくくする働きを持っています。次に、皮脂は汗と混ざり合って皮脂膜を形成し、皮膚表面の角質にたまった水分の蒸発を防ぐことで潤いを保持しています。また、皮脂は皮膚常在菌の栄養分でもあります。
常在菌は皮脂を分解して脂肪酸を産生し、肌を弱酸性に保つ役割を担っているのです。さらに常在菌は、外界からやってくる病原菌を排除する役割も担っています。このように、皮脂とは皮膚にとても重要な成分ですが、乾燥や食生活の乱れ、ホルモンバランスが崩れるなど様々な要因によって過剰に分泌し、てかりやニキビなど、美容上悪影響を及ぼすことがあります。

皮脂による化粧崩れ

化粧崩れとは、ファンデーションや白粉がよれたり浮いたりする・鼻や口の周りを中心にムラになる・全体的に顔がくすむ・粉っぽくなるなど、メイクアップ化粧品が外観上好ましくない状態になることを言います。
化粧崩れの原因となるものは、皮脂や汗、物理的接触、キメの乱れなど様々です。特に皮脂は、くすみ・てかり・ヨレといった崩れを引き起こすため、化粧崩れの一番の原因とも言われています。

人工皮脂による化粧崩れ評価試験

皮脂が化粧崩れを起こすのは、肌に塗ったファンデーションなどの化粧料が皮脂と馴染んでしまうために浮いてしまったり、化粧膜と肌の未着性が弱まってずれたりすることが原因です。
この特徴を検出するための方法が、今回ご紹介する人工皮脂による化粧崩れ評価試験となります。この評価試験は、実際にファンデーションなどの化粧料を塗布した皮膚モデルに人工皮脂を垂らし、化粧料と皮脂の馴染み具合を観察します。これにより、皮脂への馴染みにくさ、つまり皮脂に強い化粧品の開発に役立てることができます。

測定例

3種類のリキッドファンデーションで比較を行いました。

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化粧崩れが起きやすいファンデーションは人工皮脂と混ざりやすく、人工皮脂に濁りが生じます。 この結果から、ファンデーションAが最も皮脂に馴染みにくく、ファンデーションCが最も馴染みやすいということが確認できます。このことから、ファンデーションAが最も皮脂による化粧崩れを起こしにくいということがわかりました。