INFORMATION
お知らせ業界初!機能性ヘアケア化粧品市場向け新サービス
ヘアカラー色持ち機能を測定、機能向上のための技術的改善策も提供
ヘアカラーが落ちにくいシャンプーの科学的開発が可能に2012.09.11
ナチュラル&高性能な化粧品・石鹸の受託製造(OEM)を行う株式会社サティス製薬(本社:埼玉県吉川市、代表取締役社長:山崎智士)は、シャンプーやトリートメントなど、ヘアケア商品のヘアカラー保護(色持ち持続)性能を、客観的数値と処方技術面から分析評価する「染毛褪色評価試験」を開始しましたのでお知らせします。
サービス概要
サティス製薬では、皮膚の状態や化粧品に特化した評価試験を、現在国内最多の70項目 保有しています。化粧品の性能をあらゆる角度から測定した試験データを蓄積し、より高性能な化粧品の研究開発に活用しています。
この度開発した「染毛褪色評価試験」は、ヘアカラーの色落ち具合を測定する試験です。シャンプーやトリートメント等、ヘアケア化粧品に求められる性能の一つとして、ヘアカラー後の色を持続的に保つ機能が挙げられます。ヘアカラーを施した毛髪に対してヘアケア商品を使用し続け、ヘアカラーの色落ち具合を定量的に評価し、併せて処方技術の側面から測定結果の要因を分析します。
さらに、必要に応じて処方改良など技術的な改善策も提案いたします。この点が、試験の測定値のみを提供する他社受託試験サービスとは異なり、化粧品の研究開発機能を備えたサティス製薬が提供する機能性評価試験の付加価値です。機能性評価試験から処方改良など改善策提案までを一括して提供するサービスは、業界初の試みと言えます。
試験方法
日々のドライヤーやカラーリング、パーマなどで傷んだ毛髪は表面のキューティクルが剥がれているため、洗髪する度に毛髪内部に施したヘアカラーの色落ちが促進されます。
以下の試験は、一般的なダメージ毛を再現した人毛に、ヘアカラーリングを施した後、タイプの異なる3つのシャンプーの色落ち具合を色差計(※1)によって測定、比較したものです。
(※1)色差計:基準とした色からどの程度色が変化したかを数値で測定する機械。目視では判別できない微妙な色の違いも測定が可能。
【試験方法】
同じ種類のヘアカラー剤を、同じ量毛髪(3つの毛束)に塗布しカラーリングを施した後、タイプの異なる3種類のシャンプーを使用し、1日一度洗髪を行うという前提の下、7日間でヘアカラーの色落ち具合を経時的に比較しました(それぞれのシャンプーで計7回洗髪を施す)。数値は「色差」で算出することができ、色差数値は0に近いほど処理前の色に近い、すなわち色落ちが進行していないことになります。
【試験製品】
(A) 市販の石鹸系シャンプー
(B) 当社開発の石鹸系シャンプー(ヘアカラー保護用)
(C) 市販の合成シャンプー(ヘアカラー保護用)
図2.染毛褪色試験例(3つの異なるタイプのシャンプーを比較)
以上の試験結果から、「一般の合成シャンプー(ヘアカラー用)>当社開発石鹸系シャンプー(ヘアカラー用)>一般の石鹸系シャンプー」の順に、ヘアカラー剤の色落ちを防ぐ性能が高いと言えます。
【処方技術上の考察】
上記試験結果によって導かれる製品の褪色防止性能に、最も影響を与える処方上の違いはpHです。
(A)石鹸系シャンプー(市販品):10.5
(B)石鹸系シャンプー(当社開発ヘアカラー用):8.5
(C)合成シャンプー(市販品ヘアカラー用):4.9
毛髪は、pHがアルカリ性になることによってキューティクルの膨潤(※2)が最大となってしまいます。(A)石鹸系シャンプー(市販品)で洗髪すると毛髪はアルカリ性に傾き、キューティクルの膨潤が最大となってしまいます。その結果、内部のヘアカラーが溶け出し易くなり、上記のような試験結果となっていると考えられます。
(※2)膨潤:毛髪が水分を含んで膨れている状態のこと。
毛髪のカラーリング施術のプロである美容師の間では、こうした特性から「石鹸系シャンプーは色落ちしやすい」と認識されています。そのため、今回試験対象とした「(B)当社開発石鹸系シャンプー(ヘアカラー用)」は、ヘアカラーの色落ちを防ぎ、かつ、頭皮を清浄に保つための処方設計を施し、頭皮に負担の少ない石鹸由来のナチュラルなシャンプーという組成を維持しながら合成のヘアカラー用シャンプーと遜色ないヘアカラー保護性能を持つシャンプーとして開発しました。加えて、そのヘアカラー保護性能を今回開発した「染毛褪色評価試験」で客観的に証明することに成功しました。
試験開発の経緯
近年、自然派・オーガニック化粧品市場は拡大の一途を辿っています。矢野経済研究所の調査によると、2007年から2011年までの5年間で毎年一桁成長を続けており、2011年の市場規模は930億円とされています。市場拡大に伴う競争激化により、自然派・オーガニック化粧品は、その組成が「自然由来、オーガニックであること」による安心・安全だけでなく、アンチエイジングや美白など商品の機能性も求められるようになっています。
サティス製薬では自然派・オーガニック化粧品時代の要請に応えるべく、ナチュラルで高性能な化粧品の研究開発を推進しています。また同時に、化粧品の性能を客観的な数値で可視化する方法として機能性評価試験の開発も進めています。自然派・オーガニック化粧品市場の中でも、特にヘアケア市場は過去5年間に渡り伸び続けており、今後も伸長が予測されます。この度実用化した「染毛褪色評価試験」は、自然派・オーガニック化粧品の中でも顕著に市場が拡大しているヘアケア化粧品の性能を評価する試験です。
今後の展開
本試験から得られるデータは、ヘアカラーの色持ちが良いシャンプーなど、機能性の高いヘアケア化粧品の開発に役立つ基準となる他、広告や商品パンフレットを通じて商品の性能を表現するためのエビデンスデータとしても有効活用できます。
今回サービスを開始した「染毛褪色評価試験」の対象範囲は、シャンプーの他、トリートメントやスカルプ系アイテムなど、ヘアケア化粧品全般に及びます。化粧品が皮膚に与える影響をあらゆる角度から可視化し、ナチュラルでより高性能な化粧品を開発すべく、今後も評価試験の新規開発と化粧品の研究開発に取り組んでまいります。